江田憲司代表代行記者会見

2016年5月26日(木)14時00分~14時21分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=qnFGUvXd2P4


■質疑

■質疑

○日米地位協定について

【朝日新聞・藤原記者】
 橋本政権の普天間返還の日米合意には、その前年にあった少女暴行事件があったわけだが、今回の(女性遺体遺棄)事件を受けて、安倍総理は日米地位協定の見直しについては明言されていない。この点についての受け止めと、今後の日米地位協定のあるべき姿、見直しも含めてお考えを伺いたい。

【代表代行】
 大変根の深い、難しい問題だということは私も十分認識しております。
 確かに今回の事件が、日米地位協定が障害になったということはないのですが、やはり何度も何度もこういう痛ましい、悲惨な、言語道断な事件が沖縄では繰り返されているわけで、そういった沖縄の方々の感情、思い、そういったものが、ある意味で地位協定改定要求というものに凝縮されていることは事実です。
 ですから、安倍総理も昨夜の会見で、日米地位協定のあるべき姿を今後追求していくという趣旨の発言もされておりますから、やはりこの日米地位協定の改定という非常に困難な問題も含めて、これからの在日・沖縄の米軍基地負担の軽減問題とあわせ、アメリカとの間で話し合いの俎上に乗せていくということぐらいは最低限必要なのではないですか。
 これは皆さんご承知のようにいろいろな議論がございまして、「ドイツや韓国と比べれば、日本のほうが日本に有利にできているんですよ」と、「韓国やドイツの場合は判決執行時に身柄を引き渡すというような点に比して、日本の場合は起訴後は引き渡す。それだけでも有利なんです」という議論が従来あるわけですが、しかし、そういった国際比較よりも、この沖縄に大部分の基地負担をお願いしているという日本の特殊事情もございます。私もあの当時政権の端くれにいた者として、95年の沖縄の少女暴行事件、それを受けた10万人県民集会、それを受けた普天間基地返還交渉にも携わった者として、やはり沖縄の深い深い支配・被支配の歴史、そういったものに原点まで思いを起こさないと、この普天間基地の返還そのものが不可能になっていくという危機意識を極めて強く持っております。
 そういう意味で、長くなりますけれども、やはり安倍政権、特に安倍官邸、総理・官房長官の、知事を初めとした沖縄の方々に対する姿勢に本当に真摯さが見られないというか、向き合い方がなっていないというか。そういう根本的な原因があって、ご承知のような訴訟合戦、泥仕合まで行き、辺野古移設も今現在、一時頓挫しているという状況ですからね。
 これは一つ一つの事象だけ捉えて論ずるのではなくて、まさにそういう沖縄のこれまでの、琉球の歴史、支配・被支配の歴史、さらには基地負担をお願いしていること等々、総合的に考えた上で、米国とは、これは安全保障の根幹に関わる問題でございますから、総理大臣自らが話し合っていくという姿勢が少なくとも必要なのではないかと思います。

○内閣不信任案の提出検討について

【毎日新聞・野口記者】
 今日、社民党の又市幹事長が記者会見で、内閣不信任案の提出について慎重な考えを示した。野党4党で今後足並みをそろえていく際に、こういった慎重な意見があるのには、どういった対応をしていく考えか。

【代表代行】
 まだ民進党としても出す・出さないを決定しているわけではございません。今サミット中、広島訪問がございますし、これから国会会期末に向けて、与党側・政権側にもいろいろな動きが出てまいりますからね。不信任案を出す・出さないは高度な政治判断ですから、そういった状況の推移をしっかり見極めた上で、最終的には民進党としての立場を決めていきたいと思います。

○伊勢志摩サミットでの議論について

【毎日新聞・野口記者】
 本日どういう議論になっているかはまだわからないが、安倍総理が増税を先送りする理由として、G7での合意や議論を根拠に、財政出動が必要だとか、世界経済が悪いんだとかいうのを根拠にしようとしているのではないかという見方がある。こういったG7を根拠に総理が増税先送りを表明した場合、民進党としてはどういった反論を考えているか。

【代表代行】
 G7、サミットでどういう宣言が経済関係でされるのかは全くわかりません。ただ一般論として言うと、G7でどういう決定がされようが、増税するか否かなんていう話は個々の国の主権に属する話です。だから傍論的にそれをアシストするような宣言が出れば引くのはともかく、やはり増税するかしないかという話は、まさに今の日本経済の現況等々を総合的に自らが総理大臣として判断すべき話ですから。それを他人任せにして、なにか「国際的にこう言っているから」と。じゃあ日本は国際的に言われたらみんな従うのかと。全く主権国家たり得ませんから。ゆめゆめG7の宣言案をメインに、だから増税を先送りするんだなんていうことは、総理大臣たるもの言わないと私は思いますよ。

【日本経済新聞・永澤記者】
 総理大臣は、サミットで各国と財政出動について協調を探ろうとしている。世界経済を下支えする目的とはいえ、日本は非常に財政状態が厳しい中で、そういう財政出動論について代表代行はどのようなご見解をお持ちか。

【代表代行】
 私の理解しているところでは、「財政」「金融」「構造改革」、これを三位一体として進めていくのだという当たり前のことしか今回は決められないのではないか。ご承知のようにドイツ、イギリスはそういった財政出動にはネガティブですし、それぞれの、先ほど申し上げましたような主権国家たる国が判断すべき話です、こんなのは。
 ただ、そういう中で今、中国を初め新興国の経済が停滞してきた。原油価格が下がって、オイルマネーに依存してきた世界経済に少し陰りが見えてきたということが大きな課題としてあるわけです。それに対してはそれぞれの国が、「財政」「金融」「構造改革」、それぞれの軸足をどこに置くかは主権国会として判断しながら、従来から言われてきた当たり前の景気浮揚手法、経済政策手法を採用していこう程度の合意になるのだろうと私は思います。
 日本の今これだけの借金で、さらなる財政出動をしていくのだとおっしゃるならば、日本の現況に照らして、しっかり理由をつけてやっていただかないと。その理由について我々が反対であれば、しっかり今度の参議院選挙で訴えていくことが重要ではないでしょうか。
 ちなみにその点で言うと、私も何度も予算委員会で、パネルまで出して追及してきたように、「第2の矢」、財政出動の矢があらぬ方向に飛んでいるのではないでしょうかと。公共事業のバラマキと、300以上の基金への税金のブタ積みに終わっているのではないですかと。そんな景気に全く効かないようなことを幾らやったって、税金の無駄遣いの骨頂。
 そのかわり我々はそのお金をもっと有効に、国民の生活回りに、具体的には保育や教育支援、介護支援等を通じて、少しでも家計の懐を暖かくする政策を打てば、それが結果的にですよ、結果的に消費を伸ばすことにもつながり、経済成長にもつながっていくのではないかと。もちろん介護や子育て、保育支援、教育支援は、そのこと自体を目的にして政策を打つわけですが、それが結果的に家計の懐を暖かくし、それが消費につながり、経済成長に寄与する。その果実をまたそういう生活回りに充てていく。こういう好循環による経済政策に変えていく。
 その大きな一翼を担うのが財政出動であることは変わりないのですが、安倍政権になって、毎年5兆円規模だった公共事業は補正や決算ベースで10兆円に膨れ上がって、毎年2兆も3兆も使い残して繰り越しているというのですから、その2兆、3兆のお金を有効に活用するだけで、もういろいろな社会保障政策はできますから。我々民進党のこれからの役目として、(消費税の引き上げを)2年先送りを提案しましたから、その2年間のつなぎ財源を徹底的な行財政改革、無駄遣いの解消、特別会計の埋蔵金も含めて出していくということが大事です。たった2年間ですからね。消費税2%というのは5.4兆円だから、ストックで5.4兆掛ける2の10.8兆円を2年間出せばいいんですよ。それを5.4、5.4でつないでいけるわけです。このぐらいの財源は出ますし、私自身アイデアはありますので、党内にはしかるべきところにしっかり説明をしております。

○参議院選挙について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 3月下旬に民進党をつくられて筆頭の代表代行に就任されて、5月末に32の1人区では一応野党統一、民進党を軸にと。ここまでの野党の固まりぐあいというか、参議院選挙を戦う上でこの態勢全体として代表代行は何点ぐらいと。いい線いったと思っているのか、やっぱりだめだとお考えになっているのか。参議院選に向けて今どんな感じになっておられるのか。神奈川も一応まとまったわけだが。その辺を伺いたい。

【代表代行】
 その意味では、当初想定した以上にうまく進んでいると思います。何度も申し上げるとおり、参議院というのは、なぜ二院制になっているかということは、衆議院の暴走チェックが大きな理由の一つですから。
 今回は、あまりにも安倍政権の暴走が目に余ると。違憲の安保法制を強行する、言論統制をする、そういった民主主義・立憲主義の危機ですからね。それに対して共産党も含めて統一戦線を組んでいくということは十分大義名分があると、従来から私が申し上げてきたとおりです。
 それが今回、32の1人区で一本化が図られることになったことは、与党自民党から民共批判が頻繁に聞こえてくるように、与党自民党の焦りというか、危機意識をあおっていることからも、これは一つの大きな戦術が参議院においてはできたかなという思いを私は持っております。
 大体、参議院というのは政党がなくてもいいような考えもある、昔の緑風会。本来参議院というのは常に独自性を問われているわけで、そういう中で政党・会派なんて要らないという考えは昔はあったわけです。そういう中で二院の機能をしっかり果たすためにも、今回は一つの歴史的な大きな実験ではあったと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 私も思ったよりもよく頑張ったんじゃないかと思っているほうなので伺うが、ここまで来たわけだから、これぐらいは欲しいなというか、それが出てこないと、ゲームメイクとしてはおもしろくない。無責任だが、30ぐらいは取れるとか、神奈川は二つ取れるんじゃないかとか、何かあるか伺いたい。

【代表代行】
 そこはやっぱり代表代行としては言ってはいかんでしょう。公党というのは、すべて責任を負うのは代表ですから。会社もそうでしょう。そういうことがあるのであれば、やはり岡田代表から申し上げるべきなので、代表を補佐する者がああだこうだ言うべきではないでしょう、それは。明日(の代表の定例会見で)、伺って下さい。

○党代表選挙規約案について

【テレビ朝日・河村記者】
 民進党の代表選の規約の案が示されている状態で、維新が今まで主張してきた党員・サポーターの1人1票というのがなくなる形になるが、それについて代表代行のお考えはいかがか。

【代表代行】
 そこは維新の中でもいろいろな議論があって、私は党員まで1人1票は行き過ぎだと個人的には思っていたので、今回国会議員が2分の1、地方議員が4分の1、党員・サポーターが4分の1というのは、(全体のポンと数の)私はいい案分比例だと思います。
 大体、維新の中でも、もともと大阪系の人も、国会議員1、地方議員1、党員・サポーター1というのが当時の東総務会長の意見だったのだけれども、それを強引に、何がどういう思惑があったのか、党員まで1人1票にして、それで誰かがワンサカ集めたら途端に出ていったという経緯がありますから。これ以上言うと語弊があるので言いませんが。
 いいところなのではないですか、今の代表選の規定案は。

○次期衆議員選挙について

【TBS・牧野記者】
 解散とか、同日選とか、ダブルがあるかないかとか、いろいろ報道が出ているが、代行はどのようにご覧になっているか。

【代表代行】
 こういうのは推察してもしようがない、野党は受け身ですからね。幾らどうここで言おうが、やるときはやるのでしょうし、やらないときはやらないので。あまり意味がないことは言わないようにしている。

○被選挙権年齢引き下げ法案について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 マニフェストの「エッジの効いた」ものの一つに、立候補権を一律5歳下げると。大胆だとは思うが、30歳を25歳はピンとくるが、25歳を20歳にするというのは、結構どうなのかなと思うところがある。一律5歳引き下げというところは、江田さんはどうご覧になるのか。

【代表代行】
 これは両論あります、正直。しかし、鶏が先か卵が先かという議論があって、一方では「そんなに下げても、若者は望んでいないよ」とか「若者にそんなに資質があるのか」という議論もあれば、しかし一方、そういう責任を持たせることによって、もっと政治に覚醒するというか、意識が高まるという考えもあって、これは党内でも両論あります。ありますが、ここもやはり最後はトップたる岡田代表の判断ですので、そこは私は尊重したいと思っています。
 こういう議論は延々と続きますからね。こういう案を出したので、自民党も含めて各党各会派でもっと議論を深めていただきたいと思います。