枝野幸男幹事長記者会見

2016年5月24日(火)16時04分~16時25分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ANmdMmQ0tlA


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○米軍属による沖縄遺体遺棄事件について

【幹事長】
 まずは、沖縄での本当に言葉に表しがたい残虐な事件についてでございます。今日も党の沖縄協議会を開きまして、関係行政機関から捜査状況その他、報告を求めたところでございます。こうした事件が起こらないように、将来的には日米地位協定の改定まで含めて綱紀の粛正、再発防止に全力を挙げなければならないと思います。
 明日、私は沖縄に入る予定がもともとございましたので、沖縄県連の関係者等からも現地の思いや声をしっかりと受け止めてきたいと思っております。まずは、既に今回の事件については防衛大臣や外務大臣等が米国に対して抗議申し入れをしていると承知しておりますが、今週、日米首脳会談があるわけで、ぜひトップ同士でも、こうしたことが許されないこと、それに対する強い抗議、そして再発防止に向けてトップリーダーがしっかりとイニシアティブをとることについて、首脳会談で話をしてもらいたいと思うところです。
 それから島尻沖縄・北方担当大臣が、地位協定の改定を目指すという趣旨のことをおっしゃいました。それが本当に政府の方針であるならば歓迎すべきことでありますが、昨日、安倍総理は、地位協定の改定ではなくて運用の改善と国会で答弁されています。まさに閣内不一致ではないのか、あるいは選挙向けのリップサービスではないのかと、残念ながら疑わざるを得ません。もちろん相手のあることですので、地位協定の改定まですぐにできるというものではありませんが、それを目指すのかどうか、このことは政府としてしっかりと、閣内不一致でなく、明確にしていただきたいと思います。

○「内閣不信任案の提出検討」報道をめぐる与党の反応について

【幹事長】
 「野党で内閣不信任案の検討」というニュースが流れましたら、与党筋からわけのわからない発言が相次いでいます。
 解散権は総理大臣にあるわけでありまして、我々はよく「対案」「対案」と安倍さんから言われているので、我々としては「安倍内閣よりも岡田内閣のほうがいい」という「対案」を示すということで、内閣不信任案、総理大臣辞めてくださいという対案を出すのであって、決して内閣不信任案は解散を求める決議案ではありません。可決されたら、政府には解散するかどうかという選択権が出るわけですが、内閣不信任案というのは、辞めてくれという求めであって、解散を求めるものではありません。
 にもかかわらず、何かわけのわからんことをおっしゃっておられるのは何なのかなと。よっぽど不信任案を出されるのが嫌なのかな、というふうに思います。あるいは、そうでなければ、既に解散を決めておられて、「解散したのは野党のせいだ」と、例によって責任転嫁を図るための布石を打っているのかと。
 責任転嫁には全くならないということは今申し上げたとおりであり、内閣不信任案を出すごとに解散するのであるならば、昨年の9月こそ、それこそ国民に信を問うべき状況で、私は1時間45分、いかに内閣が不信任に値するかということを本会議で申し上げさせていただいたということを申し上げたい。


■質疑

○内閣不信任案の提出検討について

【朝日新聞・高橋記者】
 冒頭で触れられた内閣不信任決議案だが、これはもう提出するということでよろしいか。

【幹事長】
 いや、党首会談で「これから検討する」ということで検討しているという状況ですが、それに対して何かわけのわからないことをおっしゃっている方がいらっしゃるので、ご指摘を申し上げたということでございます。
 私は、熊本の状況等を考えれば、あるいは前回の選挙から1年半もたっていないことを考えれば、今、解散できる状況ではないと思っております。
 実は、私自身、官房長官という立場で、震災からほどなく自民党に不信任案を提出された当事者でございます。当然、行政の空白をつくれる状況ではないので、否決をすべく最善を尽くし、否決をしました。あの時、「可決されたら、解散を選択せざるを得ないのか」と、解散権は総理が持っていたわけですが、苦慮いたしました。あの時、到底、不信任が出たからといって「じゃあ解散だ」と菅内閣ができなかったように、あるいは(解散を)考えずに否決して粛々と行政を運営していくことを考えたように、熊本のことを考えるなら堂々と否決をされたらよろしいんじゃないですか、ということであります。否決する自信がないならば別ですけれども。

○普天間飛行場移設問題について

【毎日新聞・野口記者】
 普天間飛行場の辺野古への移設だが、民進党になってから党の方針はまだ公にされていないと思う。辺野古移設について共産党などは反対という立場だが、民進党はどういった立場か伺いたい。

【幹事長】
 これは、沖縄の県民の声、民意に逆らって政府が強圧的・強引に進めるという現在のようなやり方は許せないと。一旦白紙に、出発点に戻って、県民の理解を得られるような道を模索するべきであるという立場です。

【毎日新聞・野口記者】
 辺野古への基地移設についての賛成・反対というところまでは踏み込まないということか。

【幹事長】
 相手もあることです。今のようなやり方は許さない、今のようなやり方は反対です。ただ、その上で、相手もあることでもありますし、その中で一度スタートラインに戻って、県民の思いというものに応えられる道を模索する。
 外交交渉ですから、野党がアメリカ政府と交渉することはできません。政権をもう一度担わせていただいた上で、スタートラインからアメリカ政府と交渉する。その中で、できるだけ沖縄の皆さんの思いに応えられるような道を模索する。これが責任ある対応だと思っています。

○次期衆議院選挙について

【フリーランス・上出記者】
 自民党から聞こえてくる声として、同日選をやっても現状より議席が上回る可能性は低いと安倍首相は見ているので、本当はしたくないが、成り行きによってはどうなるかわからないので、解散もあると。先ほどおっしゃっていたいろいろまぜ返すようなことも含めて、野党を混乱させたいというようなことらしいが、現状での同日選挙の見通しを伺いたい。

【幹事長】
 まず、解散権というのは成り行きで行使するような軽いものではない。安倍総理がまさに総合的に判断して決めることであって、成り行き・行きがかりで、例えば「通らないと思っていた不信任が通ってしまった」みたいな話というのは、想定外の解散というのは過去にもありますが、与党が圧倒的な議席を持っている中で不信任が通る可能性は残念ながらないわけでありますから、成り行き・行きがかりで解散になるなんていうことは全くどういう空想の世界だ、という話です。まさにそんな、成り行きによっては解散するけれども、そうでなかったらしない、なんていう無責任な態度自体が許されるものではない。
 解散するかどうかですが、私は、安倍さんが天下国家、国益を考えるならば到底、今解散をするだなんていうのはあり得ない、国益の観点からは。でも党利党略、個利個略からは解散するかもしれない。安倍総理がどっちを選ぶのか。私は8-2で個利個略を選ぶと思っているので、8-2で解散だと思っている。こういうことです。

○日米地位協定について

【フリーランス・上出記者】
 地位協定までも変えていくことが必要なのではないかと、地元紙等も大紙面を展開しているが、先週、岡田代表は会見で、地位協定は今回直接関係ないのだと、あまりそれに触れておられなかった。今、枝野さんは、地位協定まで考えた対応が必要になってくるとおっしゃったが、民進党としてはその辺きちんとまとまっているのか。

【幹事長】
 あえて正確に申し上げれば、今回の本当に非道きわまりない事件そのものについては、捜査権も司法権も日本政府がガチッと握っているという意味では、直接的に今回の事件が地位協定と関係するものではないということであります。
 ただ、やはり今回の事件によって、改めて沖縄の皆さんが強く感じておられる思いに応えるならば、地位協定の改定に向けた努力は進める必要があるのではないかと思っていますが、これは直接的なものと、こうした繰り返されている事件全体の中から進んでいくべきものと、そこは岡田代表はきちっと整理されて発言されたので、若干ニュアンスが違って受け取られているのかなと思いますが。逆に、そこはきちっと整理しませんと。今回の事件そのものが地位協定で捜査等に支障があるということではない。
 ただ、やはりその背景には、非常に不平等と受け止められている地位協定、しかもこれを全く政府が変えようとしていないという姿勢があることは、これは間違いないということだと思っています。

○野党連携について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 香川で民進党の候補を降ろし、32の1人区、とにかく一本化して「自公vs野党」という構図が、ぎりぎりではあるができた。このことは、ぎりぎりでもよくやったなという評価なのか。岡田・枝野執行部としては、32の1人区がこうなったことについてどういう自己評価をされているのか伺いたい。

【幹事長】
 まず香川については、誤解をされている方もたくさんいらっしゃいますが、我が党の推薦候補に一本化していただける可能性が低いということも一つの要因ではありますが、さまざまな事情の中で候補者を引っ込めたということでありまして、私は、他の党にもご理解をいただいて一本化していただける候補者が、今からではほとんど絶望的だとは思いつつも、模索できないかと思っております。
 全体としての一騎打ち構造ということについては、多くのところで一騎打ち構造ができていることについては歓迎すべきことだと思いますし、多くの皆さんに選択肢がわかりやすくなっている状況であると思っていますが、それぞれ地域の事情ごとに、その地域の事情を踏まえた結果です。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この半年間で共産党と民進党の中でいろいろなレベルでお話をして、枝野幹事長個人としては、この半年前と今と、共産党観というのか、相手をどう認識するかという「観」の部分は変わってきているのか、昔と全く変わらないのか伺いたい。

【幹事長】
 変わっていません。今も、5年前も、10年前も、一緒です。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 共産党観は変わらないのはわかったが、小池さんとカラオケに1回行こうとかおっしゃっていたと思うが、一緒に選挙をやるという意味で、相互理解は深まったとお考えなのか。

【幹事長】
 「一緒に選挙をやる」という言葉の定義が微妙なので、それについては保留をさせていただきたいと思います。
 「でき得る限りの協力」をする。「でき得る限り」ということは、できないこともある。「でき得る限り」の範囲が小さいか大きいかは、今、各党が努力・模索をしている。「一緒に」という言葉は、若干誤解を招く可能性があると思っておりますが、少なくとも国会の中で、いろいろと連携・協力もしているわけですし、相互理解というか、それは別に共産党に限らず、又市さんだって玉城デニーさんだって、私は幹事長会談をやるようになるまでほとんど存じ上げない方でしたので、そういう意味では別に差異はありません。
 小池さんとも、カラオケに行きたいと話していますが、会期末で、しかも少なくとも参議院選挙が7月10日に迫って選挙モードになるので、ちょっとその前には無理かなとは思っています。一緒に行っていただくことについては否定されていません。

○次期衆議院選挙について

【NHK・喜久山記者】
 今日、公明党の山口代表が安倍総理と会談し、総理は「解散の“か”の字も考えていない」という話をしたそうだ。先ほど枝野幹事長は解散について8-2であり得ると。そう思われる理由を伺いたい。

【幹事長】
 逆に言うと、総理が何をおっしゃろうと、もしそこまで明確におっしゃっている中で6月1日に解散したら、メディアの皆さんが一斉に「大うそつき」キャンペーンとか張っていただけるという、そういう社会構造であるならば総理の言っていることについて一々反応しますが、解散(について)は嘘をついてもいいんだという間違った前提に基づいて報道されるんでしょう。だとしたら、そもそも正しいことを言っているかどうか、そもそも彼が何を言っているか意味がない、ということです。

○財政出動を求める首相方針について

【日本経済新聞・学頭記者】
 G7で、日本が議長国として、各国で協調して財政出動をしようと、イニシアティブをとりたいと考えていると思うが、財政出動論について幹事長の考えを伺いたい。

【幹事長】
 日本の消費の低迷という現状、まさにアベノミクスがうまくいっていないという状況を考えるならば、良質な財政出動であるならば否定するものではない。ただし、公共事業という従来型の財政出動をするのでは効果がないことは、この3年間ではっきりしている。まさに老後の安心や、子育ての安心、それから雇用の安定、こうしたところにつながっていく財政出動でないといけない。そういうところに、例えば保育士さんの賃金を底上げするとか、介護士さんの賃金を底上げするとか、こういう財政出動ならば効果があるので積極的に進めるべきだと思いますが、従来型のものでは効果がないと、まず我が国内については思っています。
 それから財政出動が必要な経済状況かというのは、どうもG7の各国の中でも、それぞれの国の状況によって認識・判断が違っているのはこの間はっきりしている。それを無理やり、議長の顔を立ててそろえた形、“ふり”をするのかどうかということだけが争点ではないですか。本質的には全然、国によって違う方向を向いているのは、この間の財務大臣会合等を含めてはっきりしているので、あとは各国の首脳が安倍さんの顔を立てて、そろえた“ふり”をしてくれるかどうか、そろえたポーズをしてくれるかどうか。それだけが争点でしょう。

○次期衆議院選挙について

【フリーランス・上出記者】
 昔から「解散と公定歩合についてはうそを言ってもいい」と、私も新聞社にいた時にはそう聞いていた。現実にこの辺を問い直していかなければならない。平気で「解散しない」と言っていてやったら、マスコミはやはり「大うそつき」と書くべきだが、今のマスコミには残念ながら期待できない。こういった状況があるということを、民進党の中でもそのこと自身がおかしいと世論に問いかけることはお考えか。あるいは、それはあまり意味がないことなのか。これは変えなければならない日本の体質だと思うのでお聞きしたい。

【幹事長】
 永田町ワイドショーを政治だと思っている一部のメディアの皆さんが、「解散権はうそをついてもいいんだ」みたいな、国民とは全く乖離した話をまことしやかにおっしゃっている良識ある人はみんな、おかしな話だよねと思っています。