山尾志桜里政務調査会長記者会見

2016年5月25日(水)15時00分~15時32分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=0g8liDi2RYY


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「消費税引き上げ延期法案」を提出

【政調会長】
 今日の11時、消費増税の引き上げを2年間延期する法案(「消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案」)を提出させていただきました。アベノミクスの失敗に対する私達民進党の対案ということで、方向性を示すことができたことはよかったと思っています。
 これだけ国民生活が苦しい、不安定な状況にあって、不本意なことだけれども来年4月の引き上げは難しいという苦渋の判断をさせていただいた一方で、「社会保障の充実」分は予定どおり、増税に先行して来年4月から始めさせていただくことで、その間は国債でつなぐということになるのでしょうけれども、公共事業中心の財政出動一本やりの道を行くよりは、むしろ社会保障への投資あるいは財政出動ということで、きちっとこの国の未来に対してリターンのある財政出動をする、というふうに私達は考えて出しております。
 党首討論で岡田克也代表がこの増税延期ということを打ち出した後になりますが、もう皆さんご案内のとおり、20日には実質賃金、前年よりも0.1%減、5年連続マイナスということも公表されました。やはりどう考えても、企業収益、たとえ一部の企業で収益が上がっていることは言えたとしても、そのことが賃金を引き上げて個人消費を拡大するという、アベノミクスが目指した経済の循環は失敗している、挫折していることが実感と数字で次々と裏付けられているということだと思います。
 やはりGDPの6割を占める個人消費の底上げということで、今マニフェストもつくっていますが、本気で「人への投資」、とりわけ子ども・若者への投資、そして長時間労働を規制して働き方を変えるということが極めて大事な、時代の要請だと思っています。

○「被選挙権年齢の引き下げ」「LGBT差別解消」「クオータ制導入」についてNCで確認

【政調会長】
 もう1点ですが、昨日のNC(次の内閣)でLGBT、クオータ、そして被選挙権年齢の引き下げということで議論をいたしました。
 とりわけ被選挙権年齢の引き下げについては、最終的な結論といたしまして、結果的には現行制度から一律5歳の引き下げということで民進党の考え方を提示させていただきたいと思います。したがって、参議院議員と都道府県知事は25歳へ、そして衆議院議員・県会議員・市区町村議会議員・市区町村長は20歳で立候補ができると。こういった形を民進党として提示したいと思っています。
 この考え方ですが、原則として被選挙権は法的権利と責任が伴う成人年齢・20歳に達した際に付与されるべきではないかという前提がございます。その上で、ただ参議院議員そして都道府県知事については、これまでの例えば二院制の歴史的経緯や意義、あるいは人口規模も含めた背負う職務上の責任の大きさ等々、こういったことを含めて、5歳の差というものが設けられてきたこれまでの経過・経緯を尊重しながら、こういうことが考えのベースにございまして、ただいまの、結果として一律5歳引き下げるという判断に至りました。
 一方、LGBTですが、これは民進党として差別を禁止するということをしっかり打ち出した法案(「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」)になりました。そして、やはり心が痛むのは子どもの当事者ですね。やはり教育の場、そしてその子どもが若者になり社会に羽ばたいていく時の雇用の場。この教育の場と雇用の場でしっかりとLGBTの問題について、差別をなくす取り組みを前に進めていくという民進党の考え方、これを法案として確認できたことは、私にとっても非常に意義深いことだと思っています。
 一方で、自民党のほうでもこの問題を今議論していると仄聞しておりますが、もし「理解増進」に留まり、当事者の方達が何よりも求めている「差別禁止」ということに踏み出せないのであれば、ここは私達が引っ張っていくというつもりで法案を提出していきたいと思っております。
 クオータ(「政治分野における男女共同参画推進法案」「比例名簿登載方法及び当選人の決定方式に係る公職選挙法改正案」)ですが、これはご案内のように超党派議連の中で、我が党は中川正春先生がご尽力されてまとめていただいたたものを、改めて民進党としていち早く党のオーソライズをさせていただいたということであります。
 超党派で成立するのが大変望ましいと思いますし、与党のほうで汗をかいていらっしゃる先生方に、とにかく今国会でみんなで提出ということを目指して、何とかご奮闘いただきたいと心から思っておりますが、残念ながらそれがかなわないということになれば、単独でも提出して、やはりしっかり社会をリードしていきたいと思っています。


■質疑

○クオータ関連法案について

【朝日新聞・藤原記者】
 先日、民進党の女性支部長の方々からも申し入れがあったと思うが、日本はまだ女性議員の数が1桁台と低迷していて、世界的に見ても低い数字にあると思う。今回クオータ制を党として打ち出すこと、また導入することの意義について改めて伺いたい。

【政調会長】
 ありがとうございます。先日、「民進女子パワー集結」ということで、各地域で頑張っている自治体の女性議員さんや、あるいは民進党の国政候補者から、私も提言書をいただきました。
 やはり女性の声を女性が聞いて政治に反映してきたのは民主党であり民進党だと、こういう思いは私なりにもありますので、やはりこのクオータ、議員の身分に関わることで各党取り回しが難航している状況もあるのでしょうけれども、民進党がいち早くオーソライズできたことの意義は大きいと私は思いますし、本当に努力していただいた皆さんには心から敬意を評したいと思います。
 このクオータがもし本当に、公明党の方は大丈夫だと思うので、自民党のほうに一つハードルを乗り越えていただいて成立すれば、一つはいわゆる理念法ですが、民間に「女性活躍」と言うだけではなくて、ちゃんと政治の分野でも男女共同参画を進めるぞということで各党に努力義務がかかるわけですし、もう一つの公職選挙法の改正が実現すれば、いわゆる「民進女子」の皆さんの名付けによれば「男女交互名簿」ということで、かなり即効的な女性議員を増やす効果がありますので、私としてはまずはオプションとしての公職選挙法の改正、そして当然しっかり方向性を示す理念法もあわせて、今国会、しっかり超党派で成立させたいと。それが一番望ましいと思っています。
 ただ、それがかなわなければ、やはり一石を投じることのほうが、このことをより前に進めることに功を奏するのではないかという思いで、単独での提出も視野に入れております。当然その際には野党の皆さんで――公明党の方ももしご賛成いただけるのであれば、とにかく賛成できる党派で集まっての提出ということも筋論としてはあり得るのではないかと思います。

○「消費税増税先送り・衆参ダブル選見送り」首相方針報道について

【読売新聞・上村記者】
 消費増税とダブル選挙について伺いたい。報道を既にご覧になったかもしれないが、安倍総理が与党幹部に消費増税の先送りと、ダブル選挙はしないという方針を伝えたということだが、それぞれ受け止めを伺いたい。

【政調会長】
 消費増税先送りと本当に判断されたということであれば、そのこと自体は私たちの苦渋の決断と同じですが、2年前のご自身の発言、必ず増税できる環境をつくるのが私の使命だと、こういう趣旨の発言と全く裏腹ですので、これは責任をとっていただかなければならないと思います。
 したがって、そこの責任をとらずにただただ粛々と参議院選挙に向かうというのは、ご自身の中で、2年前のことが「うそつき」と言われることに対して、どういうふうに国民の皆さんに説明をされるのかなと。こういうことは大変疑問に思います。

○被選挙権年齢引き下げ法案について

【NHK・岡崎記者】
 もう少し大きな視点から見て、この夏から選挙権年齢も18歳に引き下げられ、若い人の政治参加が期待される中での提出になるが、党としてどういった思いを込めてこの法案を提出するのか。また、参議院選挙が近いが、選挙でも公約に掲げて訴えていくつもりなのか伺いたい。

【政調会長】
 やはり岡田代表、今国会が始まるに当たっての会見で、「今年は若者、若者、若者の年だ」という率直な思いを語っています。当然、選挙権の引き下げはスタートするわけだけれども、じゃあ一方で被選挙権はどうなのだと。年を重ねているからといって、必ずしも本当に国民の負託に応えているとも限らないじゃないかと。若い人でも、その負託に応えられる資質がある人がいるならば、やはりどんどんチャレンジしてもらおうじゃないかと。こういう思いだと私は思っています。
 今回、結論としては全部を5歳引き下げると、こういう結論ですが、マニフェストにも当然明記したいと思っています。
 また、このことが、引き下げるというだけではなくて、引き下げの具体像を私達民進党がいち早く示させていただいたので、その一石を投じたことに刺激されて、各政党もそれぞれ議論を進めていただいて、この議論が広がっていけばいいなと思っています。

【時事通信・岸本記者】
 細かい話だが、原案は政令市長の場合は据え置くということだったと思うが、一律5歳とした理由をもう少し説明いただきたい。

【政調会長】
 そのことも含めて、部会・チームでは本当に深い議論をしていただきました。その中でももちろんそういった意見もあったことも承知をしています。ただ、最終的には、今申し上げたことなのですが、よくよく考えるに、やはり被選挙権というのは本来は成人になった時、20歳からあっていいのではないかというのがベースにありまして、その上で、ただやはりこれまでの歴史的な経過、積み上げもあるよねと。参議院と衆議院が違うとか、あるいは都道府県知事とその他が違うとか、いろいろな意見はあるけれども、今のところその違いにはそれなりの一定の合意も納得もあるのではないかと。こういう中で、理屈を通していくと、これはベースは20歳、だけど今までの5歳差というものの意義を尊重して、そこの部分は5歳上げるという最終的な判断に至ったということです。結果としては一律5歳の引き下げということになります。

○女性議員増加のための取り組みについて

【フリーランス・安積記者】
 クオータ制について伺いたい。先ほど、民進党が民主党時代から女性議員の増加について積極的だとおっしゃったが、2014年の選挙結果を見ると、自民党は全くの新人議員が4名いるが、民主党はゼロだ。共産党が結構多い。衆議院だから、たぶん比例での順番とか、そういったところが要因だと思うが、このゼロということ自体、はたして今までやってきたことが効果が出ていたのかよくわからない。今までそれだけされていてゼロということなのか。

【政調会長】
 これは女性が云々という話以前に、率直に申し上げて2014年の選挙で私は再選されたわけですが、なかなか、新人で民主党で国政で勝ち上がってくるというのが、やはり非常に厳しい状況にあったということのほうが、その答えなんだと思います。
 ただ、やはり女性候補者の支援ということでは、民進党は、民主党の時から今もですが、経済的な支援も含めてかなり応援もしてきましたし、今回も候補者、かなり女性を増やしてやってきています。そして政策的には、やはり女性の声をしっかり聞いて政策として練り上げてきたのは民進党・民主党だという思いもこれまたあり、私としては、しっかり政調会長として、民進党としてのそういうキャラクターをちゃんとPRして、女性候補者の後押しをしてきたいと思っています。

○内閣不信任案について

【TBS・松本記者】
 不信任決議案を出す意義について改めて政調会長の考え方と、会期末が迫っているが、タイミングについて検討状況を伺いたい。

【政調会長】
 内閣不信任案が野党から提案されるから解散の理由になるというのは、ちょっと私の感覚からいうとピンとこないんですね。解散というのは、内閣不信任決議案が可決された時に、民主主義を担保するために解散権というのは本来はあるはずなので、ちょっと理解しづらいなとは思っています。
 ただ一方で、やはりTPPの議論の運び方、あるいはもうちょっと遡ると、去年、臨時国会を憲法上開くべきなのに、それを開かなかったというところから今国会スタートしているということもありますし、私からすれば待機児童の問題で保育士給与のいわれなき審議拒否とか、不信任案を出す理由は挙げれば切りがないと思います。

○米軍属による沖縄女性遺体遺棄事件について

【共同通信・光山記者】
 沖縄の女性遺体遺棄事件について、今日、オバマ大統領が訪日され、サミットの間に日米首脳会談もあると思うが、改めて日米地位協定の問題等を含めて、今のお考えを伺いたい。

【政調会長】
 同じ女性でもありますし、本人の思い、ご家族の思い、親御さんの思い、そして沖縄の思いを考えると、本当に胸が張り裂けそうな、非道な事件だと思います。
 この事件も踏まえて、我が党の日米地位協定についての考え方というのは、事件以降、党内のさまざまな場面でも、当然みんながその重大性を感じていますから、改めてご意見が出ているというところもあるかと思います。当然、日米地位協定のあり方も含めて、沖縄の負担軽減に全力を挙げて取り組んでいくということは私達のやるべきことですし、日米地位協定の改定に向けた努力は進めていくべきだと私は思っています。

○被選挙権年齢引き下げ法案について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 被選挙権のことで伺いたいが、結局こういうのは権利を持っていない者が欲しがって、それを自ら奪い取るのか、あるいは岡田さんが言うように「若者、若者、若者」と言って若者に与えるものなのか。例えば民進党大会に奥田さんが来て、「なぜ我々に被選挙権がないのか」とおっしゃっていたが、その矢印はどっちなのかと思う。私は若い人が本当に被選挙権を欲しがっているとあまり聞いたことがない。被選挙権を与えることで若い人達を目覚めさせようという考えだとしたら、そういうのはあまり役に立たないと思う。若い人が「今の世の中を自分で変えたいので、くれ」と言っているのを受けて今回の改革になるのか。その部分はどういう認識か。25歳から20歳に変えるというのはすごくドラスティックなことで、すごく責任感の必要なことだと思うが、その権利というものを民進党がどう考えているのか伺いたい。

【政調会長】
 私も政調会長になる前に18歳選挙権PTということで、若い人達がさまざまつくっている団体の皆さんと、一緒に政策をつくろうということで意見交換をしてきました。そういう中からの声は、もっとドラスティックに被選挙権を下げてくれと、こういう声もあったわけです。ただ一方で、おっしゃるとおり、それが若者全体の声なのかというと、そういう状況にまではまだ来ていないのだろうなというのは、私も肌感覚であります。
 ただ、今回の選挙権年齢の18歳への引き下げ、これも最初は、じゃあ若い人たち、投票する権利を本当に欲しがっているのかねと、こういう議論もあったと思うのです。今もあるかもしれない。でも、その制度をやっぱり変えることによって、若い人も変わっていくと思うし、それより変わらざるを得なかったのは私達だと思うのですね。政治家、あるいは社会。
 そういうことを考えると、「鶏か卵か」なんだけれども、立候補年齢についてもこれくらいドラスティックに変えて、若過ぎて問題だというデメリットよりは、そのことが社会を変えていくということのメリットのほうが大きいのではないかと私は思っています。

○クオータ関連法案について

【読売新聞・上村記者】
 今回の法案はそういう構造になっていないが、数値目標を設けるクオータ制もあると思う。国会議員の女性の割合や民間企業の女性役員の割合を、数値であらかじめ設けるという考え方については、政調会長はどのようにお考えか。

【政調会長】
 今回、理念法のほうでも、政党の努力義務の中で、「政党に所属する男女の公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努める」ということで、一つの例示ですが、目標数値を定めるというやり方をとっています。私は、それは民進党としてやったほうがいいと思いますね。そうやって候補者の目標設定をした上で、仮に今回提案している公職選挙法改正案、男女交互名簿が実現すれば、実際に当選させるということのかなり大きなツールになるということだと思います。

【読売新聞・上村記者】
 「民進党としてやったほうがいい」とおっしゃったが、今思い描いている具体的な数値はお持ちか。

【政調会長】
 ちょっと今、正確なものが手元にありませんが、ただ、地方議員も含めて、民進党も目標を立てていたと思うので、それをもう一回調べて、と思います。

【時事通信・岸本記者】
 その数値目標は、マニフェストにも反映させようとお考えか。

【政調会長】
 そこはまだ検討中です。

○社会保障と税の一体改革について

【北海道新聞・津田記者】
 今日午前中にあった消費税引き上げ延期法案の関連で、その後の記者会見で、2年後を踏まえて経済政策も打ち出していくという話があった。また、財源を生むために行財政改革もやっていく、マニフェストにも載せるとおっしゃっていた。そうすると、消費税の引き上げ延期がマニフェストの中核の政策になるという理解でよろしいか。

【政調会長】
 中核と位置づけるかどうかはこれからの判断ですし、それを受け取った人の評価かもしれませんが、大きな一項目だと思います。

○被選挙権年齢引き下げ法案について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 エッジの利いた、しかも実現可能性の確かなマニフェストをつくりなさいという、非常に難しい宿題が出ているわけだが、この5歳引き下げというのはやはりエッジの利いたという認識で、やはり目玉のマニフェストの中に入ってくると見てよろしいか。

【政調会長】
 そうだと思います。やはり大きな決断・変化だと思いますし、おっしゃったように、政治参加というものをどういうふうに考えるのかということが、各党にもこれを契機に問われるといいなと思います。私は、直接関係するかどうかは別として、やはりここ数年の若い人たちの上げる声、若いママ達の上げる声、そういう皆さんと政治が近くなって、その一つの流れの中に、この立候補年齢の引き下げというのも、時代としてはあるのかなと思っています。