枝野幸男幹事長記者会見

2016年5月17日(火)15時01分~15時19分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=f9pC7vUP_ys


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○熊本地震対応の補正予算の成立について

【幹事長】
 昨日は衆議院で、今日は参議院で、補正予算に関する予算委員会が開かれております。中身の9割が予備費というのはいかがなものかと、かなり強く感じてはおりますが、被災地の復旧・復興、被災者の生活支援の拡充という観点から、本日の成立でやむを得ずということで合意をいたしました。
 ただ、まさに使い道がはっきりしない予備費という形で、異例ではありますが、野党も協力したということについては政府は重く受け止めて、予算執行における透明性を通常の予算以上に留意をされたいと求めておきたいと思っております。

○安倍政権の答弁姿勢について

【幹事長】
 予算委員会の審議でございますが、「男尊女卑」という言葉が注目をされています。男尊女卑の意識の強い方というのは、何が男尊女卑という指摘・批判を受けているのかわからないということが問題で、一般的に「男尊女卑」と言われて激しく怒る人ほど男尊女卑の意識が強いというのは、この手の問題に関わっている立場からすれば常識であり、昨日の安倍総理の対応は、まさにそのパターンにしっかりはまっている。いまだに、なぜ「男尊女卑」と言われたのかわかっておられないのではないだろうか。わかっておられるのならば、違う答え方、切り返しの仕方があったのではないかと思います。
 これに限らず、ついに安倍内閣も民主党政権の批判以外に言いわけができなくなっているのが、昨日・今日の審議を見てまさに浮かび上がってきた現状ではないだろうか。自分達が何をやって、何の成果を上げたか、あるいはいろいろと論理的に問われたことについて、正面から答えることができなくなって、いよいよ叫び続けるのは民主党政権時代の批判。しかし、我々も3年3ヵ月政権をお預かりをして、安倍内閣も第2次安倍内閣発足から3年3ヵ月を経過しています。同じ期間以上過ぎていて、「じゃあ、その間に出した結果はどうなのですか」という問いに対しても民主党政権の時代のことを言い返すというのは、まだ政権奪還して半年か1年しかたっていない時から彼の頭の中の時計は動いていないのではないかと思います。
 もうそろそろ国民の皆さんも冷静に受け止めていただきつつあると思っています。特に私はいつも強調していますが、経済の総合評価というのは実質GDPの成長率、これが何と言ってもトータル、つまり誰かにとって都合のいい側面を切り取るのではなくて、総合的に経済がどうなっているのかというのはやはり実質GDPで見る。この実質GDPの成長率が、安倍政権になってから半分に落ちている。これが客観的事実だということを繰り返し指摘したいと思います。
 あとは、この間の「日曜討論」でも自民党・稲田政調会長が様々おっしゃっておりますが、あまりにもレベルの低い、三百代言的やり方なので、私もあまり深く申し上げたくありませんが、日本語の読解力がなくてあんなわけのわからないことを言っているのか、わかっていながら揚げ足を取っているのか。稲田さんも司法試験に受かっていらっしゃると聞いておりますので、さすがに日本語の読解力が、岡田代表の国会質問等の発言についてあそこまでねじ曲げて理解するような国語の読解力では司法試験は受からないと思いますので、まさに三百代言的にねじ曲げて都合のいいことをおっしゃっている、情けないなということを指摘しておきたいと思います。


■質疑

○党首討論・国会論戦について

【北海道新聞・津田記者】
 「民主党政権批判しかできなくなっている」という話があったが、明日、QT(党首討論)がある。幹事長は党首同士でどのような議論を期待するか伺いたい。

【幹事長】
 急に安倍さんの姿勢が変わるとは思えませんので、残念ながら真っ当なやりとりを期待したくても期待しにくいなとは思っていますが、とにかく質問に正面から向き合ってもらいたい。聞かれたことに正面から答えてもらいたい。聞かれてもいないことをベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラしゃべるのはやめてもらいたいと、強く思います。

○東京五輪招致をめぐる裏金疑惑について

【フリーランス・上出記者】
 最近、東京五輪誘致に関わる疑惑のカネのことが問題になっている。1億幾らとも2億2000万円とも報じられているが、この問題、日本とイギリスでは報道の仕方が違う。イギリスではガーディアン紙が5月11、13、16日と、この中で電通の子会社が関わっているということをはっきり書いている。これはネットではいろいろ拡散しているが、残念ながらマスコミにとって電通というのはタブーだというのは私もマスコミにいたことがあるのでわかるが、私の知る限り(国内報道に)出てきていない。新聞がこういうことを報じないことも含めて、この疑惑の問題をどう捉えるかが1点。
 それを、明日の党首討論あるいは今後の、民進党としてこの問題をどう取り上げるか。ガーディアン紙も(日本の)野党がこれを追及しているということは書いているが、実際にどういうふうにこれを持っていくのか伺いたい。

【幹事長】
 明日の党首討論、時間が限られていますので、そこで取り上げるという段階かというと、ちょっと違うとは思いますが、国対のもとに疑惑の解明チーム(オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム)をつくって、今かなり詳細な調査をしています。当然のことながら、それを国会の質疑にぶつけていこうと。
 これは私見ですが、電通自体が今回の例の2億円の話について知らぬ存ぜぬと、どう考えても常識では考えられないことをおっしゃっていますし、そのことについて知らぬ存ぜぬならば、電通にも相当なカネを招致委員会は払っているはずですから、そのカネでどんな仕事をしたのか。これは場合によっては電通の担当者に国会に来ていただくような話だと思っています。

○社会保障と税の一体改革について

【時事通信・大沼記者】
 冒頭の実質GDP成長率の話に関係すると思うが、昨日、江田憲司代表代行が消費税増税に関して四つの条件を挙げ、その条件は満たされていないので現時点では引き上げには賛成できないという考えを表明された。枝野幹事長は消費税増税に関してどう思っていらっしゃるか伺いたい。

【幹事長】
 2月でしたか(「消費税について」2016.2.19 民主党・維新の党統一会派合意)、まだ軽減税率の法律は可決されていませんでしたが、その時点から一貫して何も変わっていません。

【NHK・喜久山記者】
 与党内では、稲田政調会長は、参院選の前に判断を行う必要はないと。一方で二階総務会長などは、参院選前に消費税の引き上げについての判断を行うべきだと。与党内で意見が割れているが、これを幹事長はどのようにご覧になっているか。

【幹事長】
 メディアの皆さんも、民進党にばかり「バラバラ」「バラバラ」と書かないで、「与党内バラバラ」「バラバラ」とこういう時には報道していただきたいなと思います。

○舛添東京都知事の政治資金使途について

【毎日新聞・朝日記者】
 東京都の舛添知事の問題について伺いたい。舛添さんは政治資金から美術品を購入したり、海外出張に高額のカネを支出したりといろいろ問題になっていて批判も高まっているが、この問題について幹事長の所見を伺いたい。

【幹事長】
 舛添さんは東京都知事ですので、今のお尋ね自体は都連にお尋ねをいただきたいと思いますが、今日の午前中、自民党の谷垣幹事長が人ごとのように、居ずまいを正さなければならんみたいなことをおっしゃったようですが、舛添知事は自民党(都連)の推薦で知事になられたばかりの人ではないか。人ごとのように舛添さんを批判している谷垣自民党幹事長の姿勢を私は疑問視しています。

○政治団体「国民怒りの声」の設立について

【フリーランス・上出記者】
 今回の参院選に向けて、全野党が一緒になってやっていくというムードが盛り上がったところで小林節さんが独自の団体を立ち上げられたということで、やはり結局自民党を利するのではないかというようなことが言われている。その後の経緯も含めて、今後の見通しや影響についてどのように捉えているか伺いたい。

【幹事長】
 先週も申し上げたのですが、その団体が今後具体的にどんな形になっていくのか。参議院選を本当に戦われるのか、戦うとすれば、どのように戦うのか。現時点では、まだ相変わらず見通しが立っていませんので、状況を見きわめながら考えていきたいと思います。

○野党連携について

【産経新聞・松本記者】
 参議院香川選挙区について、昨日、共産党の小池書記局長が、できれば共産党候補を野党統一候補にということを述べられたが、この発言を踏まえて、今後の調整の見通しや考えなどあれば伺いたい。

【幹事長】
 自民党の安倍政権の暴走に歯止めをかけるために、安保法制などで戦われた多くの国民の皆さんの声を受けて、1人区で一本化する方向で努力してきた中、多くの地域で共産党が既に擁立を決めていた候補を比例区に回すなどして一本化のために多大な努力をしていただいたことは大変歓迎すべきことであるし、感謝し、評価をするところでございます。できれば全ての1人区でそうしたいということの中で、多くの地域で候補者を降ろした共産党の立場としては、1ヵ所でも2ヵ所でも、自分達の候補で一本化したいという強い思いがあるのは、ある意味で当然のことだろうと受け止めております。
 これまで、他の選挙区においてもそうでしたが、基本的には民進党としては地元の調整に委ねております。それぞれの地域の事情に応じて、結果的に我が党の公認候補や、我が党が軸となって推薦した候補に一本化されていますが、例えば沖縄とかは初めからそうではないし、岩手はまだ調整が必要ですが、ここも必ずしも、少なくとも途中までの段階では我が党の候補者にこだわっていたわけでもないし、新潟は我が党が一旦決めた擁立方針を降ろしたりもしていますので、それぞれの地域事情に応じて、それぞれの地域での調整を待ちたいと思います。

【朝日新聞・高橋記者】
 4党の「でき得る限りの協力」について、幹事長はこれまで「国政選挙」という言い方をされていたが、前回の幹事長・書記局長会談では明示的に「衆院選について」ということでおっしゃった。言っていることは変わっていないが、表現方法が明示的になったことは意味のあることなのかなと思うが、もし意味があることであれば、どういった変化でそのような発言になったのか伺いたい。

【幹事長】
 それは投票日が2ヵ月後に迫ってきたからです。

【朝日新聞・高橋記者】
 その意味するところは、やはりダブル選挙と想定していて、その投票日が2ヵ月後に迫っているのでということか。

【幹事長】
 ダブル選挙の可能性が相当高いと私は思っていますので、ダブル選挙であれば7月10日が投票日となるだろうと思われていますので、7月10日に衆議院選挙があるとすれば、国政選挙という中で、衆議院は参議院以上にハードルが高いというのは申し上げているとおりですが、しかし、それも視野に入れた模索・努力はしなければならない時期だということです。

【NHK・小尾記者】
 先ほどの香川選挙区で共産党の小池さんが共産党候補を統一候補としたいとおっしゃった件で、共産党の候補者だとかなり民進党の支持者の中でもアレルギーが強い方がいると思う。党内独自に調査してアレルギーが強いと思った場合、それを拒否というか、民進党と共産党でそれぞれ候補を出すこともあり得るのか伺いたい。

【幹事長】
 香川に限らず、これまで1人区における候補者の一本化については、できるだけそのほうが安倍政治にブレーキをかけたいと思っている国民の皆さんの期待に応えることになるので望ましいけれども、それぞれの党の立場、地域の事情があるので、それぞれの地域におけるさまざまなご相談、調整を軸にやってきて、結果として多くの1人区で一本化ができているという状況です。そこでの「地域の事情」の中には、それは我が党が他の野党の皆さんに対するアレルギーがあったりということもあるかもしれないし、逆に他の党が、我が党に対するアレルギーを持っていらっしゃる支持者を抱えていらっしゃりもするだろうと思います。そういうことをそれぞれの地域の中で踏まえながら協議・調整をした結果、一本化が進んできているということであって、同じ事情は香川であっても変わりはないということです。

○社民党・吉田党首の発言について

【産経新聞・松本記者】
 社民党の吉田党首が、民進党との合流について選択肢だと述べられているが、この件に関する受け止めと、岡田代表は先週の記者会見で(一般論として)参議院選の前にどこかの党と合流するというのは難しいという認識を示されたが、幹事長の見解を伺いたい。

【幹事長】
 まず後段の話は、政党と政党が一緒になるみたいな話は、なるまでもものすごいエネルギーが要りますし、なった直後もものすごいエネルギーが要るというのは、これは取材されている皆さんも、3月27日の民進党の結党に至るプロセス、そして結党後のプロセスを近くでご覧いただいておわかりいただけると思います。
 選挙がいよいよ、間違いなく、少なくとも参議院選挙については2ヵ月切っているわけですから、そういう状況の期間の中で、選挙のための活動と、そういったエネルギーを使うこととを両立させるというのは、一般論としてちょっとしんどいよねというのは、相手がどなたであるかにかかわらずそういうことなのだろうと私も思っています。
 ただ、社民党さん、吉田党首のご発言の真意、あるいは社民党の中のご議論について、我々は十分に承知ができる立場ではありませんので、まずは社民党の中といいますか、考え方等を整理していただきたいという状況であります。