党「TPP交渉過程解明チーム」は8日の夕方に記者会見を開き、あらためてこの日の衆院TPP特別委員会の運営に抗議した。また、西川公也委員長が出版を予定していた著書のゲラについて、西川委員長が自身の物であると認めなかったため、このゲラには西川委員長の著作権は認められないとし、報道各社にコピーを配布した。

 衆院TPP特別委員会では同日、民進党の緒方林太郎議員の質問時間を残したまま中断し、不正常な状態になったことから、正常化に向けて与野党筆頭理事が協議を続け、野党側からは委員会再開の条件として、西川委員長が問題のゲラを自身の著書のゲラであることを認めるよう求めてきた。近藤洋介野党筆頭理事によると、非公式の場では西川委員長自身が「本は出版できなくなった」などと口にし、言外に自身の著書であることを認めていたにもかかわらず、公式の場では一切認めようとしなかったという。

 そのような中、西川委員長は与野党筆頭理事間協議の継続を求める近藤筆頭理事らの声に耳を貸すことなく、夕刻になって与党とおおさか維新の会の意向に従って委員会の再開を強行した。当初の予定では緒方議員の質問に続いて、民進党から5人、共産党から2人の質問者の質問に立つ予定であったが、その質疑時間を無視しておおさか維新の会による質疑を行い、この日の質疑を終えた。

 民進党は、こうした委員会運営に抗議し、記者会見を行った。さらに、この会見の場で玉木雄一郎議員が「この間、西川委員長の著書であるという前提でゲラを慎重に扱ってきたが、本人が認めない以上、著作権を慎重に扱う必要はなくなった。この『TPPの真実』の原稿については、広くマスコミ・国民の皆さんに公開し、国民の皆さんとともに検証していきたい」と、報道各社にゲラのコピーを配布することにした経緯を説明した。

 また、野党に対しては黒塗りの資料を出す一方で、自民党の有力議員である西川委員長には交渉の詳細を伝えていたことを踏まえ、「西川委員長の本に書かれている程度の情報が出てくるのかと思ったら、西川委員長の本のほうを『黒塗りにするようなこと』が行われた」と述べ、「人の出版を取り止めさせるということを権力がやったとしたら、これは大問題だ」と、事実上の「検閲」が行われた可能性を指摘。報道各社に向けて、政府の姿勢に危機感を持つべきだと強調した。