安住淳国会対策委員長は31日、就任後初となる定例記者会見を開き、TPP関連法案の審議や、国会運営について述べた。

TPP関連法案の審議について

 安住委員長は、来週5日にTPP関連法案の審議入りが予定されていることについて、「この間、党内で勉強会を行ってきたが(政府からは)事実上のゼロ回答だ」「甘利前大臣が単独で米国のフロマン代表と数十時間にわたって交渉し、そのプロセスを記録に残していないこともはっきりしている。国民生活に大きな影響のある問題を、委員会で質疑するための資料がない」と、審議しようにも審議できない現状があることを説明し、こうした状況を打開するために、党内に「TPP交渉過程解明チーム(座長・玉木雄一郎国対副委員長)」を立ち上げたことを明らかした。このチームでは、マスコミフルオープンで関連省庁からのヒアリングを精力的に行い、交渉過程についての情報公開を求める。

 来週からの委員会審議には応じられないという趣旨か、との記者の問いには、「テレビ入りの審議はしっかりやって、いかに政府の情報公開がずさんかということを徹底的に明らかにしたい」と述べ、審議には応じる考えを示した。

 民進党としてTPP関連法案の審議に臨む方針については、「(安保法案と同じく)多岐にわたる10本近い法案を1つに束ねて出してきた。しかも委員長は『1日も早く通過させたい』などと言っている。乱暴な審議をしてもいいというおごりや甘えがあるのではないか」と述べ、情報公開と丁寧な委員会審議を求めていくとともに、解明チームを活用して交渉内容を明らかにし、また、甘利前大臣の出席も引き続き強く求めていく考えを強調した。

その他の課題、質疑応答

 安住委員長はまた、3月9日の衆院厚労委員会で山尾議員が保育問題に関して質問に立った際、乳幼児を連れたお母さんたちが傍聴を希望したが、衆院の傍聴規則が10歳未満の子どもの傍聴を認めていないために傍聴できなかったという出来事を紹介した。安住代理は、東京都庁ではゼロ歳児でも傍聴が認められていることを例に挙げ、国会の現状を改善するべきとの認識を示し、委員会室の防音や託児施設などを整備するよう、議院運営委員会を通じて働きかけていく考えを示した。

 記者団から、与党が野党提出の安保法制廃止法案を審議しないことを決めたことについて受け止めを問われ、「施行されて、これから自衛隊はこれまでとは違う役割を持たなければいけなくなる。いまだに国民の皆さんの半数以上が『憲法違反ではないか』『これまで歩んできた日本の道とは違うのでは』と思っているのに、野党が出した法案を審議するつもりがないというのは、国民の皆さんの要求を無視することになる。野党の要望を無視するのではなく、国民の皆さんの要望に真摯(しんし)に向かい合うべきだ」と述べた。

 また、与党内から衆参同日選をめぐる発言が相次いでいることについては、「一方でたきつけて、一方で火消しに回ってという自作自演をやりながら、ムードを高めていっている。(消費増税延期を争点に掲げて解散した2014年の総選挙の)2匹目のドジョウを狙ってやっているのだろう」との見方を示した上で、「われわれも安穏としてはいられない。候補者の擁立を急ぐべきだし、野党との関係を含めて、どういう連携の仕方ができるのか、模索しなければいけない」と述べた。

 関連して、政府内に早くも補正予算編成に向けた動きがあることについては、「本予算は4月1日から執行されるが、現実に地方自治体にお金が回って使われだすのは6月以降だ。したがって5月に補正予算を組んでも、それは『見せ金』で実際にそれが市中に行くのは秋頃。大型補正と言っても、本当の意味での経済対策ではなく選挙対策の意味合いが濃い。そうしたバラマキ政治をやって、タイミングを計りながら解散しようと思うのであれば、国民の税金を無駄に使った解散になる」と述べ、政府・与党をけん制した。