TPP(環太平洋パートナーシップ協定)と関連法案の実質審議が7日、衆院のTPP特別委員会で始まり、玉木雄一郎議員が質疑に立った(上の写真は、右手に政府が提出した黒塗り資料を、左手に西川委員長の著書のゲラを掲げ、交渉の秘密とは何かをただす玉木議員)。

 TPPの交渉過程を一切秘密とし、民進党へも文字を黒塗りにした資料しか提出しない政府に対し玉木議員は、「TPPは国民生活に幅広い影響を与えるにもかかわらず、政府は情報を出さない。TPPで生活にどんな影響があるのだろうかと、国民はこの審議を見ている。政府が情報公開をすることは、TPPに賛成の立場でも、反対の立場でも後世への責任を果たす上で必要なことだ」と情報公開を求めた。そして、「守秘義務があるとしても、関係国が公開に同意した場合は公開できるとすれば、関係国の同意を取って公開してほしい」と求めた。

 重要5項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)に関する政府の交渉姿勢について玉木議員は、「最初から譲歩したということなのか。重要5項目を守るようがんばったとさえ言えないのか。いつの時点ですべて守れないと判断し、一部譲歩したのか経緯を明らかにすべき」と迫ったが、石原TPP担当大臣は「最終合意しかない」と答弁した。玉木議員は「経緯を知らない(のでは)意味のある質疑ができない」として甘利前大臣の特別委員会への参考人招致を要請した。

玉木雄一郎議員

 また、西川公也衆院TPP特別委員長が著書『TPPの真実――壮大な協定をまとめあげた男たち』を5月に刊行予定ではないかと指摘し、「その中に『この交渉の成否は農林水産関係の譲歩にかかっている』と記述されている。ニュージーランドの要求水準も明確に書かれている。オバマ大統領の来日1カ月前から、アメリカは従来の原則論から譲歩すると水面下で打診して来た、という記述もある。これらは相手側の要求内容、わが方の対処方針を含む交渉過程そのものだ」と指摘し、これらは秘密交渉過程の守秘義務違反にはならないのかと政府を追及した。そして、玉木議員は西川氏の著書の原稿を「貴重な資料だ」として委員会への提出を求めた。

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による資金運用について玉木議員は、「運用方法の見直しで、株式に50%まで投資できるようにした。その後、初めての通年での運用成績が出る。およそ5兆円の損失が発生しているのではないか。アベノミクスのせいで、年金運用が悪化した。消えた年金5兆円だ」と追及し、「GPIFが運用しているのは国民のお金。きちんと公開し、ていねいに説明すべきだ」として、5月末までに本年1ー3月の第4四半期分の運用成績を公開するよう迫り、「TPPも隠す、年金の損失も隠す。隠す、隠す安倍政権だ」と批判した。